作曲家・新垣隆の「幽霊」ピアノソナタ初演は脳内整理がつかぬほどの衝撃、友人のピアノにも癒される

私の友人に、東大卒・桐朋学園大院修了でピアニスト兼音楽教師の本荘悠亜(ほんじょう・ゆうあ)という人がいる。

彼のピアノは繊細なタッチが魅力で、私も音楽家・本荘氏のファンだ。

コロナ禍に入ってから一度も会えておらず寂しく思っていたところ、昨年12月7日にコンサートをやるからと誘ってもらったので、本荘氏の生音聴きたさに現地に行った。

コンサートが行われたのは東京・上野にある旧東京音楽学校奏楽堂で、『新垣隆×QREHA Strings』という室内楽団がそこで演奏した。

新垣氏は富山県にある桐朋学園大院の特任教授。QREHA Stringsのメンバーには桐朋の卒業生などが集められた。QREHA Stringsという団体名は富山県婦負郡の呉羽町(くれはまち)から付けられた。

東京都にある旧東京音楽学校奏楽堂は1893(明治23)年に建てられた。2階の音楽ホールは瀧廉太郎がピアノを弾き、山田耕筰が歌曲を歌い、三浦環が日本人初のオペラ公演でデビューを飾ったことで知られている。

1988(昭和63)年には、日本最古の洋式音楽ホールを有する建造物として、重要文化財の指定を受けた。2018(平成30)年にはリニューアルオープンしたことも台東区公式ホームページに記載されている。

この記事では演奏会に行ったことを記録・宣伝したい。本当は私が演奏会直後に記事を書けば良かったのだが、そこは付け加えておく。

以下、本荘氏にLINEで送った感想をほぼそのままここに掲載する。

本荘氏のピアノは夜寝る前に聴くと良い夢が見られそうな、柔らかなものだった。私は、ショスタコーヴィチの音楽では『交響曲第5番《革命》』(The Symphony No. 5 in D minor, Op. 47)だけ木管楽器・オーボエで演奏したことがあり、当時体力をかなり消耗した。

今回のプログラムはショスタコーヴィチの曲は特に本荘氏が好き(そう)な曲で、私のお気に入り曲にもなった。ヴィオラ・清水健太郎さんはヴァイオリンも担当していたが、全体的にごりごり完璧に弾くところが良かった。

▼演奏プログラムと感想

ショスタコーヴィチShostakovich, Dmitry:2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品5 Pieces for 2 Violins and Piano

→ショスタコーヴィチは《革命》のイメージが強い人も多いだろう。だが室内楽曲を探すと落ち着いた普通の曲も多い。この曲はそういったものの1つだ。

幸田延:ヴァイオリンソナタ第1番
新垣隆(1970年〜):ピアノのためのソナタ(1985年)

→新垣氏は、謙遜だと思うが、自分で弾くのはともかく、本荘氏にこの曲を弾いてもらうと「こんな良い曲なんだ」と分かりますね、と話していた。

新垣隆:「幽霊」の主題による新作(2023年)

→何かとんでもないことが起こります、と奏者が事前にステージで話していたが、本当にそうだった。演奏に参加していた新垣氏が曲の途中で楽器を持って下手に下がり、少ししてからまた戻ってきたからだ。ヴァイオリンやチェロの奏者が楽しそうに弾いていたのが印象的だった。

バルトークBela Bartok:ピアノ五重奏曲 Piano Quintet in C major, Sz.23

→私にとっては聴き込んだことも演奏したこともない作曲家だった。しかも曲が長い。なのに不思議と飽きずに聴き通せた。
※バルトークのeとoには長母音が付く。

本荘氏はYouTubeで演奏動画を投稿しているので、気になった人は見てみてほしい。チャンネル登録もしてくれると嬉しい。

※記事のアイキャッチは許可を取って使用しています。

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