山本彩さんのZepp公演、厚底サンダルを履く必要を感じた

私は、好きなアーティストについて、CDやYouTubeで彼女ら彼らの音楽を聴いて、たまにタワーレコードで円盤が並んでいるのを眺める程度の推し方しかしてこなかった。

ライブに行きたくないから行かない、のではなく気恥ずかしかったのだと思う。
ライブ会場に行けばアーティストが心の底から生歌を披露してくれるが、その空間にいるのが信じがたいと思ってしまうから。
何年か前に行った誰かのライブでファン同士がわいわいしているのを見て、その集団をなんだか受け入れたいってなれないような、とにかく現地に赴くのが億劫だった。

そんな推し方をずっと続けて、2022年、好きなアーティストのライブを見に行こうという気持ちがなんとなく湧いてきた。
山本彩さん(さや姉)のことは、2017年8月3日にYouTubeで公開された歌『365日の紙飛行機 / 山本彩』を聴いて、その瞬間に好きになったし、歌声にすぐに惹かれていった。
『365日の紙飛行機』は、AKB48の42ndシングル『唇にBe My Baby』(2015年12月9日発売)のカップリング曲。
これはグループで歌う曲だし、しかも女優・波瑠さん主演の2015年後期朝ドラ『あさが来た』の主題歌なのだが、最初にさや姉が一人で弾き語るこの音源に聴き惚れた。
さや姉が活動再開後に開催した、2022年12月27日の六本木公演と、12月29日の難波公演のどちらかにも行きたかったけれど、六本木の方に7~8回応募して全て外れた。

年が改まって2023年6月13日、さや姉のライブツアーが「千葉LOOK」という会場で始まった。
私はツアーのどの公演に応募するか迷いに迷った末、7月13日のZepp DiverCity Tokyo公演・スタンディングのチケットを入手した。
Zepp DiverCity Tokyoは、2023年1月に戦慄かなのさんソロライブを2階席で見たことがある。
1時間半くらいゆったり座って見られるのは良いけれど、次ここに行くときは立ってでも1階席で、より本人に近いところで見たいと切に願った。
だから、7月13日はさやかさんの誕生日前日なのもあり1階席を確保した。

今年は、3月17日に大阪・NMB48劇場で『TeamBII「なんば笑顔開花宣言」公演』も見に行った。
さやかさんがいない空間とはいえ、劇場公演を見てずっと泣いていた気がする。
私としては現地に行って推し活をするのがあまりにも遅くて、本人はもういないし、アイドルを卒業してしまった。
さや姉を好きになるのが遅すぎたと何回も思った。

NMB48と山本彩を知らずに生きてきた(生きていた)時間を少しでも埋めたくて、最近は「AKB48グループ映像倉庫」でライブ映像を見漁っている。
私がほかの音楽にドはまりしていた時期もずっと、さや姉はアイドルとしてがんばっていたし素敵な歌を歌い続けてくれていた。
同じ国にいるのに、私から会いに行かないとこんなにも遠い存在に感じられる。
自分は去年からライブ会場に行くのを再開して、現地に行って生の音楽を体感することの楽しさを感じている。

7月13日のZepp公演当日が来るまで、会場内の男性ファンがここまで多いとは思いもしなかった。
以前、NMB48卒業生の吉田朱里さんが「アイドル卒業すると、どこに行っちゃったの?ってくらい男性ファンがいなくなる」とYouTube動画で言っていたから、普通のロックバンドを見に行くテンションでZeppに向かった。
Zeppは、1階2階で合計最大2,473名が入る狭すぎず広すぎずな会場。
1階席でも、さや姉の顔も全身もばっちり見えると期待していたが、予想以上に男性ファンが多かった。
会場内でのみ申し込める「あんどくじ」についてもそれ専用の部屋があるものと思って、どこにあるのかぐるぐる周っていたら、自分の整理番号より後ろの人がどんどん中に入ってきて、前方ポジションを取り逃した。
開演前からぎゅうぎゅうで、自分より背の高い人ばかりでステージが一部しか見えない。
7月でかなり暑かったが、厚底ブーツか厚底サンダルを履いてくればよかった。

開演前、阿部真央さんの『pharmacy』が流れた。
「あべまお」は私が高1のときに好きになったシンガーソングライターで、2011年に日比谷公会堂のライブに行った。
会場内で彼女の歌声が聞こえてきて、懐かしい気持ちになったし嬉しくなった。
21時までには終わった山本彩ライブで、さや姉の顔&全身が少しでも見えたのは30分もなかったような。
バンド音楽や歌声はもちろん聴けた。

ファンのコールが厚くて胸熱で盛り上がっていた。
私はライブ中、拍手したり大声を出したりするのがまだ気に乗らない感じだったから、私もそういう風に恥ずかしがらずに楽しめられるときが来ればなと。
誰の音楽を聴いていても、歌詞はわかるしイントロで曲も認識できるけど曲名まで覚えていない、のが私の普通で、さや姉のライブは歌われる響きのある曲を1つ1つ聴いていった。
なかでも、さや姉が、2002年のELLEGARDENによる楽曲『風の日』をカバーしていたのには心が痺れた。
2022年12月31日放送の『CDTV ライブ! ライブ!』でさや姉はこの曲を披露していて、2023年2月17日にはYouTubeに同曲『Kaze No Hi』山本彩ver.を投稿していた。

さや姉がこの曲を好きで、ELLEGARDENやELLEGARDENがつくる音楽を尊敬していることも伝わってくる。
ELLEは私も高校生くらいのときに聴いていたな。
彼女がELLEGARDENやDIR EN GREYを好きだ、という事実も好きで。
私も小学生の頃からアーティストやロックバンドにはまっていたし今も大好きだから、共通点があるみたいで嬉しい。

この『&』Zepp公演で、私がAKB48グループを初めて好きになったきっかけの人はこの人なんだと、再確認した音楽のときだった。
さやかさんのことをこんなに好きになるとは思っていなかった。
一人のアイドルを好きになることで、こんなにアイドルの見方や見え方が変わるとも思っていなかった。
次にさや姉の生歌を聴きに行くときは、会場の最前列1席分確保を目指す。

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