少女漫画の実写映画で面白かったものを語る(1)

私が人生で初めて好きになった少女漫画は、中原杏さんが小学館『ちゃお』で連載していた『きらりん☆レボリューション』だった。
これは自分が小学3年生の頃に連載開始された作品で、漫画家になりたいと思ったきっかけの作品でもあるし、中原さんの絵を鉛筆かシャープペンシルで真似して描いていた。
『きらレボ』はアニメ化のみが実現していて、実写ドラマや実写映画にはなっていない。
漫画好きなのはその頃から。
今回から3記事に分けて、少女漫画が実写映画化されたものの中で特に面白かった9本を紹介したい。

『花より男子』(はなよりだんご)は、神尾葉子さんが集英社『マーガレット』で1992~2004年に連載していた全37巻の漫画。
私は2005年放送の日本版ドラマを小学5年生のときに見た。
『花男』が、平成に入ってすぐの頃に大流行した王道の少女漫画×学園ラブストーリーとは知っていたものの、漫画を読んではこなかった。

2020年7月頃、「GEO宅配レンタル」で、『花男』1~19巻と20~37巻をそれぞれ段ボールでまとめ借りして一気に完読した。
私は神尾さんの絵のタッチが好きだ。
しかも12年間という長期連載ながら、読者を飽きさせないイベントやハプニングが次から次へと降りかかってきて、ぽんぽん読めた。
2008年発売の『花より男子F DVD化記念 ビンボー牧野家が行く香港マカオ豪華旅行!!完全版』や、2009年に放送されたク・ヘソン主演の韓国ドラマも味があって見ていて楽しい。

『花より男子』実写映画版には、1995年8月19日に公開された、元アイドルで女優の内田有紀が主人公・牧野つくしを演じたものと、2008年6月28日公開の井上真央主演のものの2本がある。
漫画37巻では、つくしとF4全員が、藤堂静(女優 佐田真由美さん)&弁護士のパリでの結婚式に呼ばれる。
だが2008年の実写映画では、花沢類(小栗旬さん)が静との電話で「どうして呼んでくれなかったの?」と問いかけて、彼女から「二人っきりでやることにしたの」という答えを聞いている(Netflixの映像では-1:48:20~のシーン)。

その出来事と同時進行で、道明寺司(松本潤さん)の母・楓(加賀まりこさん)が、司と結婚するつくしに100億円相当のティアラを与え婚約の証とする。
しかし、ティアラが何者かによって盗まれてしまい、司とつくしはそれを取り戻すために米国ネバダ州ラスベガス、香港、無人島に渡る。
映像-1:23:07からの、二人がラスベガスでカジノに挑む場面は見ていて楽しすぎる。
司は「そんなに俺と一緒にいてからいか?」とつくしに言って、西門総二郎(松田翔太さん)に「"つらいか"だろ?」とつっこまれる(-1:16:34~)など、基本的な漢字が読めないところはあるが、慣れた手つきでカジノのやり方をつくしに教える。

私は、カジノという財産を賭けたゲームをやったことがない。
その経験が皆無な分、カジノが盛んなラスベガスでの映像を見るとわくわくさせられる。
『花より男子』を見る前に、マーティン・スコセッシ監督による1995年のアメリカ映画『カジノ』に魅了されていたから、日本人がやっているところを映像で見るのも良いなと感じた。

続けて『ママレード・ボーイ』を紹介する。
『ママレード・ボーイ』は、吉住渉さんが集英社『りぼん』で1992~1995年に連載していた全8巻の漫画だ。
本作は1994~1995年にアニメ化され、その際全76話も放送されたから、当時のアニメとしてはかなりのヒット作だったことが窺える。
話数は1992年放送の『美少女戦士セーラームーン』無印編よりも長く続いたくらい。
アニメ放送終了後は映像化されていなかったが、2018年4月27日、実写映画が公開された。

『ママレード・ボーイ』について、私は原作情報を何も知らなかった。
ただ主演の、桜井日奈子さんが出ている映画『殺さない彼と死なない彼女』(2019年11月15日公開)を、TSUTAYAの「準新作DVD」として見たときに強烈な印象を受けたことから、桜井さんの他の作品も見てみたくなった。

吉住さんのこの作品では、高校1年生の小石川光希(こいしかわみき)が主人公。
ハワイ旅行に行ったとき、光希の母が松浦遊の父と、光希の父が松浦遊の母と恋に落ちてしまい、全員が離婚して新しい恋人と再婚するというお話だ。
遊は光希と同じ高校1年生で、再婚に肯定的だった。
光希はそれに断固反対していたのだが、賛成多数のため6人でのシェアハウス生活が始まる。
こういうはちゃめちゃなラブストーリーは令和でならまだ受け入れられるかもしれないけれど、1990年代だと受け入れられ方も違ったのでは、と私は思う。
そんな奇抜なストーリーも気になって、実写映画の最後まで見てしまった。

『溺れるナイフ』は、ジョージ朝倉さんが講談社『別冊フレンド』で2004年10月から2013年12月まで連載していた全17巻の漫画。
動詞「溺れる」と、鋭利な「ナイフ」が組み合わさったタイトルの作品とはどんなストーリーなのだろう、と疑問に思って知りたくなったのと、小松菜奈さんと菅田将暉さんの共演作ということから原作を読んだ。
本作を読み始めた頃はまだ中身を知らなかったからTSUTAYAで全巻借りて読破したが、今は全巻を購入して本棚に並べておきたい作品の一つだと思っている。

この作品は少女漫画の実写映画版というジャンルに入るだろう。
ただし『花より男子』『honey』『午前0時、キスしに来てよ』のような、女子生徒のどきどきする気持ちをきらきら感満載で描いたものではない。

本作では、東京で半年前に中学生向けファッション誌に応募してからモデルとして活躍している小学6年生の望月夏芽が、田舎の海町に引っ越して旅館「ひねもす屋」の孫として暮らすようになる。
夏芽は地元にある「神さんの海」の区域に入っていく同い年の少年、長谷川航一朗に出会う。
航一朗は高台にある土塀の家に住んでおり、伯父は神主で本宮(ほんぐう)を守っているという(1巻1話「十二歳 世界の始まり」21頁3コマ目、1巻2話「引力」73頁2コマ目)。
実写映画は2015年7月の17日間和歌山県で撮影が行われ、公開当時の小松さん(望月夏芽役)は20歳、菅田さん(長谷川航一朗役)は23歳だった。

私は『溺れるナイフ』を知る前から海町で暮らすことへの憧れをずっと抱いていて、原作の目次とサブタイトルのフォントが教科書体のところから他の作品とは違う空気を感じ取っていた。
ジョージ朝倉さんの描く夏芽はまつ毛がぱっちりしたロングヘアのギャルっぽい女のコ。
モデルとしての彼女を見る限り小6や中1には見えない大人っぽさがあり、絵だけでも彼女のファンになってしまう。

続けて、「少女漫画の実写映画で面白かったものを語る(2)」では『海街diary』『図書館戦争』『俺物語!!』を紹介する予定だ。

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