私に腐女子としての素養はあるか? 中1には刺激的すぎたあのBL作品との出会い

2007年、私が公立中学に入学した年に初めてできた女友達が腐女子だった。
腐女子とは、男性同士の恋愛漫画(ボーイズラブ)が好きな人々の総称で、中学生にしては刺激の強い性描写も多いコンテンツだった。

今となっては『美しい彼』『おっさんずラブ』『五十嵐くんと中原くん』『きのう何食べた?』『佐々木と宮野』など、綺麗めな描写で展開される同性愛作品もある。
しかし当時、同性愛ものといえばボーイズラブ漫画の存在しか知らなかったくらいに、私には知識がなかった。

当時の漫画の本編では異性愛が描かれているのに、同人誌ではゴリゴリのボーイズラブが人気を集めているものもあった。

私が最初にボーイズラブを読んだ天野明さん原作の『家庭教師ヒットマンREBORN!』に関して言えば、主人公・沢田綱吉と同じ中学校の風紀委員長・雲雀恭弥のカップリングが有名だった。
沢田綱吉と雲雀恭弥なので「ヒバツナ」「ツナヒバ」と呼ばれていたが、友人は彼らに対して「萌え」という感情をも抱いていた。

私も私で、高校生の頃雲雀さんを真似して風紀委員になったことがある。
風紀委員にもかかわらずこれといった仕事がなく、風紀を取り締まった自覚はない。

秋葉原発のメイドカフェ文化が栄えていた頃だったのもあるけれど、今でいう「推し」「推しカプ」という言葉に替わる言葉だったと思う。
Wikipediaの漫画&アニメ特化版とも言うべき「ピクシブ百科事典」では、「REBORN!-腐」という腐女子専用ページまである。

私が高校生の頃は、同性愛者やLBTQと思われる人にまだ抵抗のある人が多かったし、同性愛を公表している人は1人もいなかった。
国語担当の女性教師は以前、「電車で手をつないでいる男性カップルがいた」と驚きの表情を浮かべながら授業で話していた。

2023年に腐女子、という言葉を平気で使ってしまうと差別用語になってしまいそうだ。
「腐る」という漢字を使っている時点でアウトな気がする。

腐女子な友人の影響で、当時の『週刊少年ジャンプ』を好きになったのが私のオタク人生の始まりだった。
パソコンを操作するのに夢中になりすぎて高校受験の勉強を全くしなくなったことを除けば、オタクの世界に導いてくれた彼女にはとても感謝している。

私は当時ボーイズラブ漫画を読むことに抵抗があって、ボーイズラブ以前に、今でも過激な性描写がとっても苦手だ。
なのに中学生の頃、近所のアニメイトに行き冒険心だけで『REBORN!』と星野桂さん原作の『D.Gray-man』の同人BLを1冊ずつ購入した。
家に帰ってわくわくしながら漫画を読んだが、性描写が無理すぎて半分も読めなかったことを記憶している。

私に腐女子の素質はないのだろう。
ただ、人が服を脱がない、性交渉なしの同性愛ものは読める。
女性同士の恋愛ものにも興味があって、綿矢りささんの『生のみ生のままで』も読んでいるところ。

とはいえ、作品として同性愛やその他の愛のかたちを受け入れることと、女性にある日突然告白されてそれを受け入れることは全然違うだろう。
自分は偏見しないと思っていても、本人と話せば理解できない部分も残念ながらあるかもしれない。
腐女子という言葉が前ほど使われなくなったように、私もそういう人たちを許容していたい。

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