日本アカデミー賞受賞作品 映画『ケイコ 目を澄ませて』の考察

2023年3月、女優・岸井きしいゆきのさんが日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を小笠原恵子さんの自伝映画『ケイコ 目を澄ませて』で受賞しました。
私はアカデミー賞授賞式までこの作品の内容を知りませんでしたが、授賞式での岸井さんのコメントを聞いて関心を持ち、映画館に見に行きました。
そこで僭越せんえつながら、この記事では2022年12月公開の実写映画『ケイコ 目を澄ませて』の考察や評価を私の観点で行います。

岸井ゆきのさんは、1992年2月11日生まれ&神奈川県出身の女優です。
所属事務所はユマニテ。
実写映画『ある男』で日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞を受賞された安藤サクラさんと同じ事務所です。
私は岸井さんが主演を務めた今泉力哉監督の映画『愛がなんだ』やドラマ『小公女セイラ』、『突然ですが、明日結婚します』『連続テレビ小説まんぷく』『恋せぬふたり』『アトムの』を見ました。

前項で簡単に『ケイコ 目を澄ませて』の主演・岸井ゆきのさんを紹介したので、映画の考察に入りましょう。
岸井ゆきのさんにとって、本作は33本目の映画出演作です。
私は、彼女が出演する映画は『ケイコ』のほかに『愛がなんだ』を見ました。これからもっと見ていかないと。
映画を見る前私が抱いていた岸井さんの印象は、「岸井さんがいる作品にはゆったりとした空気が流れている」こと。
よって長いせりふを早口で披露する、喜怒哀楽の激しい人物を演じる、アクションに挑戦する、といったイメージが薄いです。
私は見ていないけれど、ドラマ&映画『99.9-刑事専門弁護士-』や映画『悪の教典』は例外かもしれません。
だから今回見る『ケイコ』も、ゆったりとした空気感の中でやさしい気持ちになれるような映画だろう、と思って見ました。

また、岸井ゆきのさんは3月の日本アカデミー賞授賞式でこう仰っています。
───以下コメント全文───

身に余る賞をありがとうございます。三宅組でなかったら……ひとりでも欠けていたら、私はここに立っていません。とても感謝しています。支えて下さった皆様、そして原案の小笠原恵子さんに感謝します。ありがとうございます。

私、映画が大好きなんです。映画を観ることが大好きで……映画を観ている時は、何語でも喋れるし、どこへでも行けるし、何者でもないと思えるからすごく好きです。演じることも、常に役があって、他者があって。他者を演じることで“自分を見る”ことができる。現場から家に帰って、自分の生活を見つめた時に『あー、やっぱり私ってなんでもないんだ』って思えることが安心するんです。そういうことで“自分を見ている”ような気がしています。

30年、40年前の映画を初めて観た時に『これを観るために、今までがあったんだな』と思うことがあって。映画はそこでずっと見つけてもらうのを待っている。そういう風に……まだ出会う前の誰かのために生きることができるのかなって思ったりして。

この作品には、私が見たことのない景色をたくさん見せてもらいました。まだ劇場でやっているんです。上映中なんです。ぜひ劇場で見て頂きたいなって思っています。今、それだけが私の望みです。

映画.comさんの記事より引用

岸井さんのコメントをテレビ越しに聞いて、彼女は心が綺麗な方だと思いました。
「自分は演じることが好きだ」とか「目立ちたい」とか「有名になりたい」とか「あの女優の演技に魅せられた」とかではない、"岸井ゆきのが映画女優をやっている理由"。
私も映画を観るのが好きなので、彼女と共通の趣味があることの嬉しさも感じました。
感性豊かで繊細そうな岸井さんをそう思わせてくれた映画がどのような作品なのかが、このコメントを聞いてとても気になったのです。

そんな『ケイコ 目を澄ませて』は、1時間45分の比較的短い映画。
岸井ゆきのさんは映画の中で3回しか言葉を発していません。
1.「はい」・・・自分が通う荒川ジムの会長との会話において発した言葉。
2. 「はい」・・・1.と同様小さな声で発した言葉。
3. 「ああああああーーーーーっ」・・・1回目?の試合で自分に喝を入れるために出した大きな声。

この3つの言葉以外は全て、聴覚を除く目や顔全体や手話のみで演技をされています。
今回は声のない映画ということで、女優の演技力がより鮮明に映し出された映画だなと。

ケイコは1回目の試合で相手に勝ち、自分が勤めるホテルの女性職員に褒められもするのですが、周りからの評価とは正反対に自分の気持ちはどんどん沈んでいきます。

岸井さんの目力や顔全体の表情作り、寂しそうな背中、街で両親に会釈だけしてただすれ違うシーンなどで女性プロボクサー・小笠原恵子さんの心の変遷が伝わってきました。

また岸井ゆきのさんの演技力だけでなく、本作が素敵な作品だと絶賛されているのは、映画監督・三宅しょうさんの技術がそれを後押ししているものと私は考えています。
本作では、「映画に映す必要のある人間の行動」を流し終えた瞬間、余韻を残さずさくさくと次のシーンに切り替わっていくのです。
シーンの切り替えが他の作品に比べて速いのかもしれません。
シーンの数も多めかも。
三宅さんは1984年生まれとのことで、今年39歳になる代ですね。
まだまだお若い映画監督であるにもかかわらず、見やすい映画を作っているなあと感じました。
シーンの切り替え方は、エッセイのようでした。
本作のモデルとなった小笠原恵子さんの自伝はまだ読んでいませんが、自伝もそれに似た書き方なのかな。

これからは、「日本アカデミー賞受賞作品だからこの作品を見よう」ではなく、映画館に行って自分の目で作品を感じたいです。
その上で、日本アカデミー賞授賞式前にどの作品が受賞しそうかを自分の頭と感性で考えていきたい。

今回は、岸井ゆきのさん主演の映画『ケイコ 目を澄ませて』の記事を投稿してみました。
今までウェブライターとしてSEO記事を書いてきたものの、何かを批評する機会が多くはありませんでした。
そろそろ自分の"何か"を発信してみたいという気持ちになり、ブログで映画の感想を書いてみた次第です。

※記事のアイキャッチ画像は「BEIZ images」と「いらすとや」から1枚ずつ拝借しています。すみませんが、チョコミントブログの記事作成にあたりWikipediaの情報を多少参考にしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA