櫻坂46『承認欲求』の歌詞「♪コミュニケーション能力なんて全くなくて どうすればいい?」の意味を探る
櫻坂46が2023年10月、7thシングル『承認欲求』をリリースした。この曲のセンターは森田ひかるさんで、前列の山下瞳月さんと谷口愛季さんが彼女を支える。
作曲は浦島健太さん&加藤優希さん、編曲は加藤さんだ。加藤さんは日向坂46の6thシングル『ってか』の作曲でも、浦島さんと共同制作として名を連ねている。
浅井七海さんにとっては最初で最後の選抜となった、AKB48の59thシングル『元カレです』のカップリング曲でTeamBの『ヤラカソウ』の作編曲にも加藤さんは参加。『元カレです』のセンターは本田仁美さんだった。
加藤さんのAKBグループ&坂道グループ曲への参加はその2曲で、『承認欲求』は櫻坂46への初コミットとなった。
『承認欲求』だけでなく櫻坂46&欅坂46の曲名は、世に問うメッセージ性が伝わってくる。SNSの発達で誰でも輝ける時代になったのは良いのだが、そこで誰かの目に止まるパフォーマンスをしなければ生き残れない大変さがある。
「kokomu」でピアノ連弾版の楽譜を見ると、四分音符=132のテンポなのでそれなりに速い。フラット記号が4つある調だからAs-dur(変イ長調)。この調は楽器奏者からすると、フラット2つの変ロ長調ほどメジャーではない。といっても演奏するのはそこまで難しくないという印象を与える。
As(A♭)は吹奏楽の基準となる音B♭より1音低く、オーケストラの基準音Aより半音低い。いずれも明るくはないAsを中心に音階が展開されるから暗い色調の曲となっている。
『承認欲求』はイントロこそゆったりに聞こえるが、歌詞が流れてからはついていくので精一杯。音程の跳躍も多い。
歌詞の4行目、「そこで聖徳太子出てくる?!」というタイミングで聖徳太子が登場。聖徳太子は7人の声を聞き分けられたから「そんな一斉にメッセージされたって・・・」の後に続く。
「誰も承認欲求強すぎて
そんなにも自分に自信がないのかい?」
君は君でしかないだろう、と言われても人がいすぎて目立ちたくても目立てない気持ちが歌詞ににじみ出ている。承認欲求が強くないと生きていけないのか?と自問自答してみると、たしかになくても良いかもしれない、という気がしてくる。
承認欲求を満たそうとすると逆に辛くなるかも、と気付けたから『承認欲求』という歌詞に感謝の意を示したい。
「コミュニケーション能力なんて
全くなくて どうすればいい? 知らん 知らん 知らん 知らん」
この歌詞について、コミュニケーション能力って要は相手の話を聞き取る能力に同義なのでは?と思う。聞き上手になることは大事。
そして、NMB48メンバー全員がミュージックビデオで心から楽しそうに歌う17thシングル、『ワロタピーポー』らしいなと感じたのは以下の歌詞。ちなみにこの頃はまだ山本彩さん、吉田朱里さん、渋谷凪咲さんが選抜として参加していた。センターは白間美瑠さん。
ちなみに『ワロタピーポー』はF dur=ヘ長調。フラットが1つのみで、『承認欲求』よりはるかに明るい曲調で歌える。
「アンチもブロックしないよ
数だけ欲しいフォロワー(Why?)
誹謗中傷 想定内
傷だらけのまるでホラー」
歌詞全体に、SNSが普及しすぎて個々の承認欲求が強まりすぎている、というSNSの二次災害感が漂っている。
欅坂46~櫻坂46の歌詞はメッセージ性も社会性も強い方なのだが、以前より痛々しくないといって良いだろうか、聴きやすい歌詞になった。
AKB48・小栗有以さんがセンターの楽曲『アイドルなんかじゃなかったら』や、乃木坂46で井上和さん主人公の『おひとりさま天国』と同様に、秋元康帝国の歌詞が全体的に言葉重視のそれになりつつある。